立て!カンタムロボ
予告に巨大カンタムロボが出てきたので,これは見るしかないと思っていた.
おもちゃサイズのカンタムが活躍する映画はあったが,実際のサイズ(?)で動いているのは見たことない気がする.
予告に出ていたロボvs怪獣とかエスパー同士の空中戦のようなアクションシーンを期待していたが,そのようなシーンは少なかった.ロボットとしての質感を伴った巨大カンタムが出てきたときは興奮したし,戦闘シーンもかっこよかったためもっと見ていたかった.
そのぶん精神世界での描写が多い.敵の子ども時代にしんのすけが入り込み共にいじめっ子に立ち向かうのだが,このシーンがダラダラと続く印象を受けた.3Dでの派手なアクションをもっと見たかった.
でも文脈に関係なく,しんのすけがボロボロになりながら頑張っている姿を見ると泣いてしまう.
攻めたテーマ
ストーリーはわりと過激だったように思う.
今作の敵となるのは,何事もうまくいかず現代社会に不満を抱える青年,非理谷 充(ひりや みつる).
彼の恵まれない境遇は現実味があり感情移入して暗い気持ちになる.
ティッシュ配りのバイトをしていて社会の底辺と罵られたり,暴行犯に間違えられて警察に追われたり,推しのアイドルが結婚して引退したり.
子どもの頃は友達がおらず,いじめられ,両親の離婚も経験している.
リアリティがある分,感情移入しやすく暗い気持ちになる.
そんな彼が力を手に入れて世界を破滅させようとする.
彼は幼稚園でも事件を起こすが園児たちにも容赦ない.
園児たちの弁当を貪ったり,将来の夢が書かれた絵をぐしゃぐしゃにしたりする様子は痛々しい.
そしてラスボスの見た目がかなり不気味で怖い.
人間に近い形態のときはまだ良かったが,最終形態はグロテスクな姿をしている.
子供は泣くんじゃないかと思った.
すべてが終わったあと,非理谷に対して「誰かを幸せにするために頑張れ」と励ますのだが,この国の未来に希望を持てない孤独な彼に対してこの言葉は残酷だと思う.
しんちゃんが仲間になってくれたのが,彼にとって唯一の救いだったかもしれない.
明らかにしんのすけと境遇が異なるのに友達ではなく「仲間」と強調されていたのはしっくりこなかったが.
現代社会の暗い部分がテーマだったため,希望が持てるラストを期待したが中途半端で終わった感じ.
アクションシーンが少なかったのもあり派手なラストバトルを期待したが,無いまま終わった.
そのた
昔のクレヨンしんちゃんと比べて表現がマイルドになっているのかと思っていたけれども,お下品な言動は健在だった.ただ,子供の頃は笑えていた内容も「不快に思う人もいるかも」などと考えてしまい素直に笑えなくなってしまった.
ミッチー&ヨシリンや上尾先生など懐かしいキャラが出てきたのは嬉しかった.
3Dでもしんちゃんの顔の形とかが破綻しておらず違和感は少ない.
顔のパーツが固定されているのではなく,顔の角度によって位置が変わっている感じだった.
どのように実現しているのか気になる.
まとめ
エンタメとして単純に楽しみたかったがテーマが現実的で暗い気持ちになり,希望が持てる内容でもなかったため若干後味が悪かった.
しかし,エンディングのサンボマスターの曲はそんな感情を吹き飛ばしてくれるくらい非常に良かった.
非理谷に対する応援歌のように思えて泣ける.
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