本作は紛れもなくアクション映画だが、「まるでアクション映画みたい!」と思ってしまった。
スタントマンが映画の撮影を飛び出して、現実世界でも危険なアクションを繰り広げるため、街中での追跡劇を見ながらついそう思った。
あらすじ
撮影中の事故で心身ともに傷を負い一線から退いていたスタントマン、コルト・シーバース(ライアン・ゴズリング)。元恋人ジョディ・モレノが監督を務める映画で復帰を目指すが主演俳優のトム・ライダーが行方不明になってしまう。彼の捜索を依頼され行方を追うが、大きな事件に巻き込まれることになる。
勧善懲悪痛快アクション
主役のコルトは、劇中劇「メタルストーム」の主演俳優トムのスタントマンである。
実弾が入っていない撮影用の銃で戦ったり、車にひかれる前に前にマウスガードをはめたりするなど、スタントマンならではの仕草やトリックが見どころである。
車を横転させるキャノンロール、カージャンプ、火だるま、ボートアクション、殺陣、ビルからの落下などあらゆるアクションが詰め込まれている。
「FALL GUY」の名のとおり、高所からの落下シーンが何度かあり印象的だった。このタイトルには「騙されやすい人」や「身代わり」という意味もあるらしい。複数の意味があることで何度もタイトル回収されるのが面白かった。
派手なアクションに加えて肉体美も素晴らしい。
夜のシドニー、オペラハウスをバックにタンクトップのマッチョが海から這い上がってくるシーンは、鳥肌が立つほどかっこよかった。
サムズアップの意味
スタントマンはアクションの後、自身の無事を知らせるためにサムズアップをする。どんなに過酷な状況でもこの親指を下げてはいけない。というコルトのセリフがあった。
スタントマンの無事が確認されてはじめてそのアクションは「成功」となる。
劇中でコルトは、ことあるごとにサムズアップしているが、その意味を知ると単純にかっこいいだけでなく安堵と興奮をより強く感じた。
ひっくり返った車の中からサムズアップが飛び出してきた瞬間、撮影現場で歓声が起こった理由がわかる。
裏方へのリスペクト
エンドロールではメイキング映像が流れた。
主人公コルトのアクションシーンはもしかしたら全てライアン・ゴズリング本人がスタントを行っているのかと思ったが、さすがにそんなことはなくスタントマンがついていた。ただ、冒頭のビルからの落下シーンなどは本人が演じたとのこと。
車を何度も横転させるキャノンロールが大成功したときは、劇中と同じくらい現場が盛り上がっており、スタントマンの技術力や制作側の熱意を感じた。
特撮ヒーローのアクションを見ていると、俳優と背格好が同じスタントマンがうまい具合に顔を隠していたり、前後のシーンと違和感なくつながるよう編集されていたりして関心することがある。子どもの頃は気にしたことがなかったが、何度見返しても不自然さを感じない。
映像作品は裏方の技術や工夫があって成立するものだと本作を見て思った。そんな裏方へのリスペクトが詰まった映画であった。
プレミアでロゴをぶっ壊しているのが面白かった。
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